ヒョードルからの最高の贈り物

僕には本当に本当に尊敬している
格闘家がいます。

もういろんなところで言っていますが
彼の名は

エメリヤーエンコ・ヒョードル

その人です。

 ロシアンラストエンペラー
 氷の皇帝
 60億分の1の男

などなど
数々の異名を持つ彼ですが

素顔はとても優しく紳士的で
常に静かな微笑を携えた
物静かな男です。

そんな彼ですが自身を向上させる意欲は凄まじく
練習量も半端じゃありません。

ロシアの小さな町に住んでいて
大自然に囲まれながら

近代的なマシーントレーニングは一切使用せず
原始的なトレーニングばかりを
とことんストイックにこなし
世界最強の座に君臨しています。

そして、ここ約10年間に渡り
競合ひしめく総合格闘技のヘビー級で
無敗伝説を築き上げてきました。

これがどれほど異常なことなのか
理解できますでしょうか?

ヘビー級のトップクラスの選手というのは
皆すべからく一撃で人間を殺すだけの力を秘めています。

いや、これはジョーダン抜きでホントに(笑)

つまり、たった1発の打撃で
試合が終わってしまう事だってあるということです。

そして、もしかしたら
それは偶然の一発かもしれません。

体重差や身長差だって
異常だと言わざるを得ない時があります。

例えば

チェ・ホンマンという韓国の選手や
ズールという怪物みたいな選手との試合では

体重差は60kgを越えていたし
身長差に関しても30cmを越えていたりしました。

60kgって・・・

ねぇ?(笑)

しかし、そんな状況でも涼しい顔をして戦いに挑み、
真っ向勝負でねじ伏せた彼の戦いぶりには
本当に多くの強さに憧れる男たちが
勇気と感動を与えてもらったことだと思います。

戦いに対して誰よりもプロ意識を持っている男であり
優れた人格者でもあるヒョードル・・・

甲本が最も尊敬する男の一人です。

が、

その時は突然訪れました。

2010年6月26日の試合において
ついに彼が敗北を喫したんです。

正直ショックでした。

ヒョードルファンの中には

「もうしばらくは何もする気力が起きない・・・」

「放心状態・・・」

「ショックで寝込みそうです・・・」

というようなコメントが相次ぎました。

そして、この甲本も例外ではなく(苦笑)
本気で1時間くらい呆然としました。

それくらい僕やヒョードルファンにとっての
彼の影響力というのは大きいということです。

おそらく今でも彼のたった1度の敗北によるショックから
立ち直れずにいる人もいるんじゃないかと思うんですが

僕は彼の試合後のコメントを聞いた時、
本当に目の覚めるような思いでした。

そのコメントがこちらです。

-----------------------------

本当にとても残念です。

私を信じてくれてた人たちを
失望させたのは残念です。

しかし人生で起きることの全てには
何らかの理由があります。

神が決めたことであれば、
このような試練を与えることが
ベストな選択だったということでしょう。

私は神に感謝します。

私はベストな状態に近づくために
トレーニングをしたつもりでしたが、
練習不足だったことを露呈しました。

練習不足だったせいか、
反射的にテクニックを出すことができませんでした。

もっと練習しないといけないということでしょう。

コンディション自体はとても良好です。

自分ではとても良い状態だと思います。

ここ(アメリカ)でもう1試合します。

現役は続けます。

つまずいて立ち上がらない人はいません。

私はアイドルのように祭り上げられましたが、
誰でも負けることはあります。

私も皆さんと同じ普通の人間です。

神の意志が働けば次の試合は勝ちます。

プレッシャーはありません。

明日帰国するので多少ほっとしています。

-----------------------------全く持ってヒョードルらしいコメントだなぁ
という感じですが

やっぱりこの人は偉大だな、と。

彼は試合後の記者会見の場に
いつもと変わらない涼しい微笑を携えて登場しました。

そして、敗者とは思えない
堂々とした立ち振る舞いで
上のコメントを述べたわけです。

これこそ本物の王者の姿だなと。

並みの選手ならここで
言い訳の一つでもしそうなもんですよね。

「実は怪我してたんだ」

とか

「今回は体調が万全じゃなかった」

とか

「審判が悪い」

とかね(苦笑)

けど、彼は自分が負けたという事実を
真摯に受け止め全力で拳を交えた対戦相手を称えました。

正直、わかっていても
なかなかできることじゃないと思います。

だって、一番悔しいのは
これまで死ぬほど努力を積み重ね、
そして家族やファンのために勝利を積み重ねてきた
彼自身のはずですからね。

だからこそ、僕は負けてなお
彼に惚れ直しました。

彼のように生きたい!

本気でそう思いました。

そしてこの時、自分は本当はすごくラッキーなんだ
ということに気づかされたんです。

彼はこのまま行けばもしかしたら
無敗のままで現役を引退していたかもしれません。

実際にもう格闘家としては
そう若くないことは確かですしね。

あと2試合したら引退するという噂も流れていました。

そこへ来てのまさかの敗北。

多くのファンは涙が止まらなかったと思いますが

僕はむしろ、こんなすごいもんを見せてもらったんだから
彼にこれまで以上の感謝をしなければいけないと
思うんですよ。

だって、一生見ることの叶わなかったかもしれないものを
見ることができた
わけですからね。

そして、おまけに彼は負けてなお
輝く姿を見せてくれたわけです。

言い方は変かもしれませんが、
負けのお手本を見せてくれたわけです。

これは本当に
「ヒョードルからの最高の贈り物」
だなと。

というわけで、これからもヒョードルに関しては
何かと取り上げるかもしれませんが

彼は僕も認める最高の漢だと思うので
あなたも彼の生き様から少しでも学んでみてください^^

最後まで読んでくれてありがとうございました!

甲本


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