<生きた体験談>
どうも 甲本です。
今回も士郎さんの失恋レポートを
お届けしたいと思います。
ついに第3弾ですが、
今回もかなり読み応えのあるものですので
じっくりと噛みしめてみてください。
恋愛における葛藤や少しずつ成長していく様などが
ホントによく見て取れる貴重なレポートだと思います。
今の自分と照らし合わせてみたり、
もし自分が同じ状況になったら
どうするか考えてみたり、
いろんな視点で読んでみてくださいね。
このレポートはまさに生きた体験談ですから
ふつうのノウハウを解説したメルマガなんかよりも
勉強になる部分がたくさんあると思いますので。
ではでは
さっそくいきましょうかね。
1人の男が懸命に行動しあがいた軌跡を
追体験してみてください。
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甲本さん。
お世話になります。士郎です。
失恋レポート第三幕ができたのでお送りします。
年内中に彼女を作るのを目標に頑張りたいと思います。
ではさっそく第三幕。お付き合いくださいませ。
■Iちゃん編
あれは、私の今の会社でのキャリアが
半年ほどになったころ。
私と同じく中途採用で
入社してきた女性がIちゃんです。
おでこを隠す細い黒髪と伏せ目がちな目。
新しい職場での緊張がすぐ見てとれるほど、
内気でおとなしいタイプで、
年齢は私のふたつほど下です。
現場の実習に来た彼女の面倒を、
私が見ることになりました。
このころの私は、
Hさんへの好意を日に日に高めていた時期です。
以前のように女性に対する気遅れや
恐怖心はなくなりはじめて、
Iちゃんの面倒を見ることも
嬉しく感じていたことを覚えています。
そのときの指導は流れ作業でしたから、
はじめての体験にIちゃんはてんやわんや。
そんな彼女を励まして、
少しでも上手くできれば褒めてあげ、
できない部分は何も言わずにサポートに回る。
次第に慣れてくると、
苦手な冗談なども交えたりしながら、
私は彼女から少しづつ信用を得ていきます。
それだけでも当時の私としては大進歩でしたが。
偶然をチャンスに変えるために行動する小さな積極性も、
この頃から芽吹き始めていたようです。
帰宅の途につく折、
偶然Iちゃんの後ろ姿を視とめた私は、
自分でも驚くほど迷いなく
彼女に歩み寄って行きます。
その肩をタッチすると、
彼女はびっくりしたように振り返りました。
「Iさん、お疲れ様。どうでした? 初日の感想」
「うーん。まだ、なにがなんだかわからないです」
「やっていけそうですか?」
「それはまだなんともいえない…かなぁ」
住まいや休日の過ごし方、
趣味や食べ物の好き嫌い。
ずいぶん高揚していた私は、
次々に質問を重ねていきます。
Hさんへのアプローチで、
思い込みという名の自信が湧いていたからでしょう。
やがて、それまで異性に尋ねたことのない質問までが
口から勝手に飛び出しました。
「ところでIさんはさ、彼氏いるの?」
「彼氏…。は、三年前に別れてそれっきりですね」
私は自分の大胆さに驚きながら、
Iちゃんの答えに胸を躍らせます。
Hさんを慕いながら、
Iちゃんにも興味を抱く、これがきっかけでした。
翌日からの私は、ふたりの女性の
気を引くことばかり考えるようになります。
Iちゃんへの作業指導は熱を増し、
Hさんの姿を見かければ、
手探りの言い寄りを試みる毎日。
自分の中では、Hさんが本命、
Iちゃんはキープという感覚でいました。
するとHさんには緊張が邪魔をしましたが、
Iちゃんにはずいぶん気軽に接していけたのを覚えています。
女性にあれだけ奥手だった私が、
いつしかIちゃんに対しては、
ジョークでからかえるようにまでなっていました。
Iちゃんの後ろ姿を見つけるや、
そっと近づき肩に指チョン。
振り向いたところで、
反対側から「はろー♪」
知り合いからは「小学生の悪戯」と馬鹿にもされましたが、
Iちゃんの反応は上々でした。
ときどきIちゃんからの逆襲も受けながら、
彼女と私との挨拶スタイルになっていきます。
「ねえねえ。自販機の新しいジュース、ちょー不味いの。
士郎さんも買ってみてください。ふふ」
「そうなの? って、不味いの薦めるなよー」
普段はドリンクを飲まない私が、コインをチャリン。
ふたりでテーブルを挟んで新作ジュースを酷評したり…。
「おつかれさん。俺今日、歯医者なんだよ。
行きたくないからIちゃん代わりに行ってよ」
「わけわかんない。あたしこの前行ったばっかりですよ、歯石取りに」
「へえ、ちゃんとケアしてるんだ。Iちゃんって、歯キレイだもんねー」
そういうこと言わないで…と、
むず痒そうに笑うIちゃんと並んで歩いた帰り道…。
私のほうから積極的に立ち話をする機会を増やしていくと、
やがて現行犯で、周囲から冷やかされるようになります。
私もIちゃんも、ふたり笑って照れていました。
けれど。
私の内心は、Hさんにありました。
すでにその時期、私はHさんから敬遠されていることに
焦りを感じはじめていたのです。
ハウツーに従って、同じように接しているはずのHさんとIちゃん。
一方には敬遠され、一方には成功の兆し。
成功の兆しを育てる選択を、私はしませんでした。
手が届きそうにないものへの、執着が勝ったのです。
どうにか軌道修正すれば、Hさんを振り向かせることはできるはず…。
焦りは思考と行動をエスカレーションさせ、やがて。
私は、Hさんに撃沈されます。
死刑を宣告されたような挫折感に苛まれました。
私は死人のような表情でいたに違いありません。
MちゃんもHさんも、私を視界に捉えるや怯えたように
避けて逃げ出すようになりました。
その仕打ちとストレスに、
私は自暴自棄になります。
彼女たちに苛立ちを募らせ、
選んだのは沈黙すること。
仕事の上で話しかけられてすら無視して我を張ったことで、
彼女たちとは完全な絶縁状態に陥ります。
虚しさと苛立ちは日増しに強まるばかりです。
私はそのフラストレーションを、
ボウリングにぶつけるようになります。
知識も何もない。ただ手軽にできる。
ひとりで黙々と打ち込める。
それだけの理由でボウリングにのめりこんでいきます。
高額な道具を買い揃え、
県内のセンターを片端から巡っては、
がむしゃらに投げまくる。
人とは折り合おうともせず、ただ無性に、
なにかに没頭して虚しさを誤魔化すことに躍起になる日々。
そうでもしなければ、
ストーカーに成りかねない。
自分に対する恐怖心が私の原動力でした。
そうした不安定な日々の中で、
一縷の希望をIちゃんに求める気持ちが私の中で揺れ動きます。
Hさんに撃沈されたのと時を同じくして、
私はIちゃんとも疎遠になっていました。
人事異動で部署が別れてしまったこともあり、
以前のように頻繁に顔を合わせる機会がなくなっていたからです。
そして私は、Iちゃんの退社を、
彼女の断りなく待つようになります。
「Iちゃん、お腹すいたっ。ご飯食べに行きたいなー、Iちゃんのオゴリで」
「はあっ? んなタカられても」
はじめこそ、久しぶりの会話を楽しんでくれた彼女でしたが…。
「ねえ。冗談抜きでメシ食いに行こうよ」
「やだ…。うちで食べるもん」
ふいに沈むIちゃんの声のトーン。
断られるはずがない。
私は混乱し、焦りが口をついて噴き出します。
「えー、いいじゃない。そろそろ、っていうか、たまには一緒に。ね?」
Iちゃんの顔から表情が消えていくのも構わず、
押しに押しに押しまくり…。
拒否されるたびに、笑って一旦話題を別に逸らせておいて。
唐突に、音飛びしたCDのように
「じゃ食べに行こう!」と見苦しく振り戻す。
「いかないってば!」
それまで見せたことのない怒り声をあげて、
私をピシャリと黙らせたIちゃん。
Mちゃん、Hさん…これでIちゃんにまで拒まれたら、
もう立ち直れない…。
焦る私の行動はすべて裏目に出るばかりです。
次の機会から、廊下で出会った時の反応ひとつ取っても、
Iちゃんの態度は変わってしまいました。
「よぅ、Iちゃん」
「あ…」
Iちゃんは、「ども」と会釈だけをして、
そそくさと行ってしまいます。
やがて。酷い喪失感にのしかかられた私に追い打ちをかけるように、
辞令が下りました。
別の棟への出向を命じられたのです。
「一週間程度で帰ってこられるから、よろしく頼むよ」
私は疑心暗鬼に囚われ、
上司の言葉を信じようとはしませんでした。
それでなくとも、彼自身
「はじめは短い出張から継続延長を重ねられて、
結局今の現場に納まることを余儀なくされた」過去を、
先日私に話したばかりのことです。
私の焦りは頂点に達します。
Iちゃんに告白するなら、今しかチャンスはない…。
退社時間に避けられるならと
、私は朝の出社時間、彼女を待って歩み寄りました。
そして一方的に出向の件を告げると、
思いのすべてをぶつけます。
「俺、このままIちゃんと離れちゃうのは心残りなんだよ。
頼むから、俺と付き合ってみてほしい」
「いやです。お断りします。
彼女なんて、好きなボウリングで見つければいいじゃないですか」
「俺は…俺は、Iちゃんがいいんだよ。ね」
「嫌。信じない。私、知ってるんだから…。
私の前のふたりとのコト。あれはどうなるの」
「MさんやHさんは…。だから…。俺は、Iちゃんを選んで」
頑なに首を振るIちゃんに、
私は哀願するように言葉を続けます。
「デートして…やっぱり、しっくり合わないかもしれないよ。
でも、でもさ、もしかしたら楽しいデートになるかもしれないじゃない。
俺、焦って仲良くなるつもりはないから。
ゆっくりでいいから、とりあえず始めてみようよ。ね?」
しつこくせがむ私に、
Iちゃんは無言になってしまいます。
結局、公約通り一週間で出向を終えて
帰ってくることができた私ですが。
Iちゃんは、私を見ただけで逃げ去るようになりました。
■Iちゃん編まとめ
ある程度仲良くなった時点で連絡先を交換することもせず、
他にフられたあとでアプローチされて、
それで振り向いてくれるはずがないでしょうに、
私、女の子を何だと思ってたんでしょうね。
あまつさえ、Mちゃん、Hさんの件までバレバレ。
そういう噂は広まるんですね。
隠したまま仲良くなろうなんて、
警戒されて当たり前。
ところで。好きでもなんでもない彼氏持ちの女の子に
「フられちゃった秘密話(ハズカシイのでMちゃんの件だけ)」
を打ち明けたところ、以前より仲良くなれました。
また別な子には
「俺好きになるとスグ告っちゃう。んで攻めすぎて自滅する」
と話したところ、やはり話しかけられる回数や内容の濃さに
変化が現れました。
自己開示って大切です。うん。
慣れると気持ちも楽ですし。
もっと慣れてくれば、
もっと楽な気持ちになれるでしょうね。
がんばります。
そんなIちゃんと、以前のように立ち話や冗談を言えるようになったのは
つい最近です。
きっかけは、持ち主不明の落し物に見当をつけて、
私がIちゃんに届けてあげたこと。
あとは自然に私の足がIちゃんに向くようになり、
向こうからも避ける気配が薄らいで、
以前のように冗談でからかったり、
たあいない雑談ができるようになりました。
それと、後ろ暗ーい理由ではじめたボウリングですが(爆)
好きになるとまっしぐら、な性格が役に立ったのか、
プロや大勢の人に支えられながら
他県に遠征して出会いの輪を広めたりと、
数年前からは考えられない
積極性を身につけて今に至ります。
ろくに市外にすら出たこともなかった引きこもりな人が。
今では毎月のように泊りがけでの広域活動。
もはや健全なライフワークです。
まだまだ人付き合いもボウリングも下手っぴですけど(笑)
自分で決めたことを、結果がなかなか見えなくても
辞めずにコツコツ続けるって、ほんと大切ですね。
さて。
私は今もIちゃんのことは「好き」です。
でもその「好き」は、MちゃんやHさんを見返したかった意地や、
ずっと想いを伝えられずにいる大本命への身代わりとして求めただけの、
身勝手な紛い物の恋慕です。
もしかしたら、彼女にしたい「好き」に
育ったかもしれません。
しかし、どのへんから
気持ちが歪んでしまったのかはわかりませんが、
本気の「好き」には向かわずに、
それにも拘らず私は告白してしまいました。
ですから、Iちゃんとのことは、
失恋と呼べるようなものではないかもしれません。
私はまだ恋愛のれの字も知らない男です。
これから少しづつ、真剣に、
心から愛おしいと想い想われる相手と巡り合えるよう頑張っていきます。
私ひとりの力ではその幸せは掴めません。
先達、甲本次郎様。これからも御指導、
御鞭撻のほどよろしくお願いします。
御精読ありがとうございました。
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いかがだったでしょうか?
あなたはこのレポートから
何を学びましたか?
この士郎さんという方は
非常におもしろい方で
まず文章が異常に上手いですよね(笑)。
何でも小説の書き方みたいなものを
昔学んだんだとか。
彼は別に小説家でも何でもないんですよ。
ただ、学んでみただけ。
それが今ではこうやっていろんな人に
勇気を与える役に立っている。
素敵なことですよね。
僕も恋愛とは到底関係の無い分野まで
幅広く学んでいるつもりですが
何がどこで活きてくるかなんて
わからないもんなんですよ。
多くの人は今の自分に必要だと思うものしか学びませんが
それが非常にもったいないなと思う今日このごろです。
だって、それじゃあまりに普通すぎる。
普通のことしかやってなかったら
絶対に頭一つ飛び出るような結果は得られませんからね。
士郎さんのこのレポートにしてもそうです。
彼はわざわざ時間をかけて執筆し、
それを僕に送ってくれたんですよ。
どこかに吐き出すことで気持ちに整理ができ、
また前に進めるんじゃないか
っていう理由で。
僕は頼みもしないのに(笑)。
でも、だからこそ着実に
結果を出しているわけです。
少しずつではありますが
僕の目から見てもわかる程に
成長を遂げてくれているわけです。
何かを欲するなら努力するのは当たり前。
それはみんなやっていることです。
本気で成功したいならそこにもう一つ
人とは違うがんばりをプラスしてください。
「そんなにがんばれないよ・・・」
って言うならがんばんなくていいです。
その代わり成功することも
幸せを手にすることもあきらめてください。
何か説教くさくなってきたので
この辺で止めにしておきますが(苦笑)
できることならあなたには満たされた人生、幸せな人生を
歩んで欲しいと思います。
人生一度きりですからね。
ではでは
今回は長くなりましたがこれで。
お疲れ様でした。
ここまでお付き合い頂き
ありがとうございました!
甲本